月: 2023年4月

残業規制導入後も大学病院の医師の3割が上限超え 文科省調査

文部科学省が18日に公表した調査結果で、2024年4月からの医師の休日・時間外労働の上限規制について、全国の大学病院に勤務する医師の3割で2024年度の残業時間が年960時間を上回る見込みで、大半の病院が上限を延長する特例の申請を予定していることがわかった。調査を受託した全国医学部長病院長会議は、労働時間を短縮するために人材確保や業務の移管・削減が必要だと訴えている。

75歳以上の医療保険料引上げ 健保法等改正案、参院で審議入り

出産育児一時金の財源の一部を後期高齢者医療制度から負担する仕組みの導入を盛り込んだ健康保険法などの改正案が19日、参院本会議で審議入りした。改正案が成立した場合、後期高齢者医療制度の保険料の年間上限額は現在の66万円から2024年度に73万円、2025年度に80万円へ引上げとなる。

「特定技能の対象分野を拡大」有識者会議が新たな方向性示す

技能実習制度廃止とその後創設する新制度を検討している政府の有識者会議は19日、中間報告書の修正案をまとめた。新制度と特定技能制度の対象職種を一致させる考えは維持しつつ、現行は対象分野でない技能実習職種の特定技能制度対象分野への追加を検討するとした。永住も可能となる「特定技能2号」の対象分野の追加も検討する。転籍制限緩和については、総合的な観点からの議論とあわせて人権侵害や法律違反が確認された場合の救済の仕組みや転籍先を速やかに確保する方策も、議論する。

健康保険法改正案 衆議院通過

健康保険法などの改正案が13日、衆議院本会議で可決され、参議院に送付された。同改正案は、後期高齢者医療制度の保険料を所得に応じて引き上げることが柱で、今年4月から50万円に増額された出産育児一時金の財源の一部を後期高齢者医療制度から負担する仕組みも導入する。

東北3県の家電量販店に労働協約の「地域的拡張適用」

厚生労働省は11日、家電量販大手2社の労働組合が東北3県(青森・岩手・秋田)内の店舗に関して会社と結んだ労働条約について、3県内の他の大型家電量販店にも適用することを決めた。この労働協約の「地域的拡張適用」が県境をまたぐのは初めて。対象店舗では正社員に年間111日以上の休日を与えなければならず、業界での労働条件の切下げ競争を防ぐ狙いがある。適用期間は2023年6月~25年2月。

政府が専門人材の採用日程ルール決定

政府は10日、2025~26年春卒業者の採用日程ルールを決定し、経済・業界団体に要請した。26年春卒業者から専門性の高い人材に限り、選考開始を大学3年終了前の春休みに前倒しする。昨年4月に産学協議会が示したタイプ3のインターンシップを2週間以上実施等が前倒しの要件。企業が内々定を出した学生に対し就活を終わらせるよう迫る「オワハラ」禁止や、辞退者に内定期間中の研修費用返還を求める行為の禁止、学生のハラスメントに関する苦情・相談を受け付ける窓口の設置も求めた。

紙の戸籍謄本 提出不要に

政府は、パスポートの新規発行や運転免許証の手続きで、紙の戸籍謄本などの証明書の事前取得や提出を不要にして事務処理完了までの期間も短縮する。マイナンバーカードを使ってインターネット上で申請を完結できるシステムを整え、2025年3月までの開始を目指す。

「人権デューデリジェンス」手引書を公表

経済産業省は、企業が供給網全体で人権侵害を把握して改善する「人権デューデリジェンス」のための手引書を正式に公表した。2022年に策定した指針に基づき、リスク評価と対応がしやすくなるよう、企業がまず行うこととなる人権侵害リスクの特定・評価について、事業内容、製品、地域など4つの事業領域から確認のうえ、評価する手順を示している。

最低賃金の目安額 3区分に見直し

厚生労働省の中央最低賃金審議会は6日、最低賃金の引上げの目安を示す区分(ランク)を、現在の4(A~D)から3(A~C)に減らすことを決めた。Dを廃止してBを増やすことで地域間格差の拡大を抑える狙いで、Aには6都府県、Bには28府県、Cには13県が割り振られた。今年度の改定作業から適用される。

日本商工会議所調査 中小の58%が賃上げ

日本商工会議所が28日に公表した中小企業の賃金引上げに関する調査の最終集計によれば、「賃上げを実施予定」と回答した企業は58.2%(前年比12.4ポイント増)に上った(調査は全国約6,000社の中小企業を対象に2月に実施(回答率55%))。うち6割強が業績改善を伴わない賃上げ実施で、賃上げ率は「2%以上」が58.6%、「4%以上」が18.7%だった。